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< 喧嘩の後に残るもの >

3月28日 午前4時
 
 先週、イライラしているって書いたけど、イライラしている人は、あたし以外にも案外多そう。
 だけど、それを人にぶつけるというのはどうだろう。ぶつけられた方はほんとうに嫌な気分になるものだ。
 あたしは喧嘩早い。瞬間湯沸かし器のように、頭にすぐ血が上る。
「今、あたしをすっごく侮辱したね」とか、
「今、とっても嫌な気分になった」とか、
 とりあえず頭にきたことを相手に伝えてから、その後、理由を説明していた。
 でも、このやり方はいけないのかもしれない。先に否定されたら、その後いかに自分は正当であるかを訴えても、相手はあたしに嫌悪の感情しか抱かないだろう。
 ほんとうのことをいえば、頭にきたときに頭にきたと相手に伝えず、だけどそれから陰にまわってジクジクと相手の悪口をいうような人間は好きじゃない。
 けど、主張も正義もないくせに、八つ当たりもいいとこで喧嘩をふっかける人間はもっと嫌いだ。親元でもう一度、子供からやり直せと思う。
 あたしがこんな話をするのには、理由がある。
 先日、息子と映画にでかけたら四十歳くらいの男に喧嘩をふっかけられた。映画を見終えて劇場から出たとき、あたしたち親子の隣に座っていた男にいきなり肩を掴まれたのだ。
 男は怒鳴った。
「おい、おまえら。おまえのガキ、どうにかしろよ。おまえ母親だろう」
 あたしははじめ、男がなにをいわんとしているのか意味がわからなかった。
 映画は『ドラえもん』で、子供連ればかりだった。泣いている子供、劇場内を走り回っている子供、その中でとりわけ息子がうるさかったとは思えない。恐竜が出てきたとき、その名前をしゃべったくらいだ。
 テラノサウルスが出てきたとき「あ、テラノ」とつぶやいた息子に、その男が身を乗りだし人差し指を立て「シーッ」とやっていたのは知っていたが、その後、息子は静かになった。テラノが出てきたのは、そんなに後のほうじゃない。
 それから男は、寝てしまった。自分の息子をかまうことなく。男の子供は、ゼンマイの玩具で遊んでいた。もちろん、あたしは注意したりしない。そのぐらいのことで。
 だから、男に怒鳴られたときあたしはいった。
「ふざけんじゃないよ。あんたのうちの子だってうるさかったろう。だいたい、あんた寝てただろ」
 そしたら男はパンフレットを持った手を振り上げた。そしてあたしの帽子を飛ばした。
 あたしはこういう男を絶対に許せない。大きな声を出したり、手を振り上げれば、女は黙ると思っている。
 警察を呼んでもらった。なにがなんでも、男の言い分に正義がないことをわからせてやりたかった。
 警察をまじえての話し合いは、二時間に及んだ。
 途中、男が、
「子供が可哀想だから、女房を呼んで引き取りに来てもらう。そのぐらいいいだろう。子供の前でこういうことは……」
 とかいってきた。よくいうよ、と思った。子連れのあたしにわけもわからぬ因縁をつけてきたのはそっちじゃないかと。
 男の子供がずっと泣いていて可哀想だった。きっとやつは家でも気分で怒鳴ったりしているんだろうと安易に想像できた。
 彼の子供は帰して、でもあたしは息子と一緒にいた。誰かに頼めば迎えにきてくれるだろうとは思ったけど、あえてそうした。
 男の怒声に少しだけ涙ぐんだ息子だけれど、手を握って「泣くな」といった。泣くのは向こうなんだからと。息子は泣かなかった。
 男は子供が帰った後、謝ってきた。
「自分は喧嘩っ早くて、始終、まわりとぶつかっているんです」
 といってきた。あたしは、
「あたしもだ」
 と答えた。
 あたしもよく喧嘩する。でも、自分のいったことに責任は持つ。売った喧嘩に意味がある。だから、自分が間違っていたら、即座に謝ることだってできる。
 男のいっていることは理由にならない。
 そんな説明だけじゃ許せない。許すつもりもない、あたしはそう警官にいった。
「今までは、誰かれとなく喧嘩を売ってそれでまかり通っていたのかもしれないけど。でも、あたしはきちんとした謝罪がないと、しかも男が納得し頭を下げないと、絶対に許さない。あたしは今回の事件を痴漢にあったようなものだと思っている。公衆の面前で怒鳴られたり手を上げられたりして、あたしは辱めを受けた。これから先、男がおなじような恥ずかしい真似を他の女にしないように、徹底的にやってやる」
 そう興奮していったら、お巡りさんに窘められたけど。「あのー、こんかいの事件は痴漢じゃないんで」って。しかし、あたしにとっては同罪だ。
 結局、男に住所と名前と職業を述べてもらい、謝罪させた。男は分野は違えど同業者だった。
 ふつう、物書きは物事に対する意味や理由を大切にする。わけがわからない。そこらへんをじっくりと聞いてみたかったが、息子が、
「おじちゃん、謝ったんだもん。悪い人じゃないよね」
 とつぶやいた。
 こいつは最高だ。あたしの神様だ。
 視点が目の前の憎い男から、はるか頭上の彼方になった。あたしら親子と男と警官を、落ち着いて眺められるようになった。
 警察が入る前、相当、男と怒鳴りあって、その中で男の調子に合わせ、
「おまえんとこのガキだって」
 といってしまったことを思い出した。あたしはその点だけは、男に謝った。
「売り言葉に買い言葉で、あなたの宝物をガキといってしまって悪かった。ごめんなさい」と。
 そして、家に帰って、考え込んだ。
 今回はあたしが正しかった。でも、今回以外のあたしのしてきた喧嘩は正しかっただろうかと。
 もしかすると、あたしに言い分があるように、相手にも言い分があったのかもしれない。
 はじめに怒りの感情をぶつけるあたしに押され、相手がそれをいえなかったなんてことはなかっただろうか。
 あたしはルール違反を犯してないか?
 大人しい人間なら萎縮し、なにもいえなくなってしまうかもしれない。それに、その場でいえなかったから、悪いということでもない。だって、人それぞれ性格が違う。
 そういった喧嘩の後、残るものは鬱屈した憎しみだけだ。それこそ意味がない。
 男のことを考えると、自分のことを考えてしまう。自分のことを考えると、男のことを考えてしまう。
 男は最後に、
「後日、きちんとした形で謝罪をしたいのですが」
 といっていた。あたしはそれがどんなことか想像もつかないので断った。
 けど、それから数日経って、あることを思い出した。あたしの先輩が男の専門分野で、書き手を捜していたのだ。
 恩のある先輩だし、最高のものを書いて、それを謝罪としてもらいたいと思った。
 けれど、調べてみても仕事の依頼先がわからない。もし、これを読んでいたら、連絡をいただきたいと思う。

2006 03 28 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< あたしのイライラの原因 >

 もしかすると更年期障害かもしれない。きゅうにイライラするし、きゅうに死にたいほどの孤独に襲われる。
 まさかね、と思いたい。たぶん長い小説の執筆に入っているから心が不安定なんだろうと。そういう人たちがいっぱい登場する小説だから。
 一昨日はテレビの仕事を終えると夜の十一時だった。このまま独りぼっちの家に帰ってはヤバイ、そう感じたあたしは夜の街に繰り出すことにした。
 飲み友達のマコトに電話をかけた。
「なにしているの?」と訊ねると、
「家でぼうっとしている」と答える。
「室井も暇なの。だったら飲みにいこうか」
 あたしはそうしようと思っていたけど、「やめておく」と返事していた。ふと、やつの友人のダッチャンのことを思い出したから。
 ダッチャンとはマコトを交えてしか遊んだことがない。電話で何度か話をしたことはあるけれど、それだけだ。そういうば、おとつい電話があったっけ。たわいもない用事で。
 あたしはマコトを出し抜いてダッチャンと二人で遊びにいこうと決めた。彼と飲みにいった。
 ダッチャンは始終あたしを、女の人扱いしてくれたので嬉しかった。飲み代もスマートに払ってくれた。
 そして、わかった。あたしのイライラの原因は、最近誰からも女の人扱いしてもらってないからだと。
 書いたものやテレビのコメントを誉められたら、それは嬉しい。九年間、この仕事をつづけてきてよかったとしみじみ思う。なんだかんだいっても、友人達から愛されているのも実感している。有り難いことだ。
 でも、違うの。あたしがこの頃、欲しいものは。
 作家のあたしじゃなくて、テレビに出ているあたしじゃなくて、面白いことをいう友達のあたしじゃなくて、義理堅く絶対に味方のあたしじゃなくて。
 若い女の子たちが、よくいわれる、
「可愛い」
 って誉め言葉をかけてもらえるようなあたしが、誰か一人ぐらいの前ではいてもいいんじゃないかしら。
 ダッチャンは酔っぱらって「可愛い」って何度もいってくれた。合格。
 これからちょっとだけ楽しくなるかも。……でもマコトの友達だしな。てかダッチャン、あたしを「可愛い」っていってくれた数より、「マコトが可愛い」といった数のほうが多かったんじゃないか? 女ったらしの、すさまじく軽いキャラのあいつを。
 で、「マコトと似ているあたしも可愛い」って話になったんだった。思い出した、思い出した。とたんに嫌な気分になってきたわい。
 やっぱ、気を取り直して仕事に打ち込むか。そういう時期なんだ、きっと。病気にならない程度に、心血注いで小説を書こう。
『ママの神様』の感想、待ってます。
 それだけが楽しみだよ。
 
 ぜんぜん関係ないけど、この場でも何度か書いたことのあるへたれジャーナリストのあいつ。
 秘書があたしとあいつがどうたらという話を自分のブログで書いたらしいけど、あの男はこういうとき電話をしても捕まりません。翌日電話してきても、死にたい気分は治っているというんだよ。役に立たない男だ、まったく。
 
 
 
 

2006 03 22 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< 『ママの神様』 >

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 あたしの最新刊小説、『ママの神様』。みんな買ってくれ。買って読んで、感想を聞かせてくれ。
『ママの神様』は今まで書いてきた小説と、ちょっと毛色が違うの。
 発売日までは自信たっぷりで、
「違うあたしを見せてやるぜ!」
 そう胸を張っていたんだけど、発売日になったらきゅうに不安になってきた。昼飯どころか朝飯も喉を通らなかった。
 作風を変えるってどうなんだろ。自分では良い小説だと思うけど。
 今まであたしについてきてくれたファンは、残念な気分になるのかな。それとも、室井はこんなものも書けるんだと誉めてくれるのかしら。
 ファンあってのあたし。そこをいちばんに考えたいものだ。
 ぜひ、感想を聞かせてね。ブログのみんな、頼りにしてるよ。
 話は変わって、マンションについて。結果、無事買えることになりました。もう買っちまいました。後はリフォームするだけ。
 新しいお部屋にみんなを招待したいけど、全員を招待したらマンションの床が抜けてまう。無理だ。そこで……。
 バーチャルで招待!
 ってどう? 家に入って居間でくつろぐまでを写真で送るから、みんながみんな好きなように想像するの。
 つまらないかな? 
『ラブレター』は最終校了も終わり、前書きや後書きも書いてしまった。表紙も決まったしさ。
 なんかまた、みんなで面白いことしたいよねぇ。
 とりあえず、発売を記念して、眠れそうにないから強い酒でも飲むか。酔っぱらいながらいい気分で、みんでできる新しい遊びを考えようっと。
 

2006 03 13 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< 誕生日プレゼント >

 3月4日、21時26分。
 
 ごめん、一週すっ飛ばして。
 誕生日だったから。二十六歳の。
 といっても、素敵なダーリンと南の島にいっていたなんて話じゃない。
 なぜか毎年、自分の誕生日には男が切れてるあたしだ。『自分にプレゼント』が恒例になっている。
 思い返せば、去年はダイヤの指輪を自分にプレゼントしたっけか。そして、こういい聞かせたっけか。
「ユヅキ、寂しくないよ。だって、おまえにこんな大きなダイヤをプレゼントしてくれる男などいやしないじゃないか」
 少しだけ救われた気分になった。
 で、今年。ジャジャーン! あたしは2006年の自分の誕生日、自分にマンションをプレゼントすることにしました。やったー! 
 たまたま女優をしていた時の先輩から、「遊びに来い」と命を受け、先輩のマンションへいったら空き部屋がオープンルームになっていたではありませんか。暇だから見にいったよ。
 タワーマンションの最上階、窓からは小さく東京タワーが見えた。
「すんげー!」
 あたしはその景色にやられたね。急いで税理士に電話をした。現在、自分がいくらもっているかを聞くために。
 ぎりぎりだが、買える。いける。
 ローンで買ったら誕生日プレゼントにならないもんね。誕生日プレゼントは、ポンと現金で買うだろ、ふつー。
 あたしは迷わず、申込用紙に名前を書いた。申し込みの順番は二番目。一番目の人が値切っているみたいで、二番目のあたしが買える可能性も見えてきた(不動産屋談)。
 早く結果がでないかな。ワクワクする。
 そう、あたしはワクワクしている。まわりの人間はハラハラしているみたいだが。
 施工主とか、建物の場所の地盤とか、はてまた間取りの風水とか、ちゃんと調べろとまわりはいう。
 それに、ここが肝心なのだが、なにを隠そうマンションを買ったら、あたしは文無しに近い状態になる。事務所の社員の給料も、自転車操業のようにまわしていかねばならん。
 ……ま、なんとかなる。たぶん、きっと。
 なんとかならなかったら売ればいいんだ。多少、損をこくかもしれないけどさ。
 2006年の誕生日、自分にマンションをプレゼントする。なかなか華やかな誕生日だ。素敵な一年になりそうだ。
 今のご時世、お偉い政治家のオヤジだって、自分の女にここまでしてやらんだろ。よくわからないが、
(勝った!)
 あたしはそう思った。そう思えることが肝心なんだ。でなきゃ、寂しくて死んでしまいそう、じつは。
 
 
PS
 素敵なお人形は、【ゆらりゆらり……】 【独歩日々メモ】のお二人にプレゼントしたいと思います。のちほど、係の者から連絡がいきます。可愛がってねん。

2006 03 06 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック