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< 愛するということ >

 同じマンション内の違う階に、仕事部屋を借りることにした。今までは事務所で原稿を書いてたんだけど、たまには独りになりたくて。
 といっても、長い間独りは嫌なんだよね。独りで平気なのは三日までだろうか。いや、三日目の夜あたりからきつい。
 小説は五日ぐらいホテルでカンヅメになって書いているんだけれど、深夜、無性に寂しくなって、タクシーに飛び乗り息子の寝顔を見に家に帰ってたりしてたもの。
 良いアイディアでしょ。同じマンションの違う階を仕事部屋にするって。ベッドやテレビといった大きな物を運ぶ必要もないし。
 だが、あたしのこのアイディアに独身の女友達はみな首を傾げる。
「馬鹿だねぇ、あんた。それじゃ、男を引っ張り込んだりできないじゃない」
 そうか、そういう考えもあっか。
 でも、大丈夫。現在、あたしに引っ張り込む男なんていなから。
 去年の夏ぐらいまではボーイフレンドのような男がいた。遊びにいくとき、息子連れでも怒らないようないい人だった。息子のこととても可愛がってくれたし。
 離婚後「男ってやーね」が口癖だったあたしが、唯一、斜めから見なかった男か。スケベを直球で望まれなかったのが、幸いだったに違いない。
 けど、去年の夏過ぎぐらいからだろうか。彼と連絡がなかなか取れなくなってきた。携帯電話の留守電に向かって話すのは、飽きてしまった。若い女の子と映画にいった話や食事にいった話を、平気であたしにしてきたときに気づいていればよかったか。
 子供もいる、仕事も忙しい。考えれば彼は、いつもあたしのスケジュールに合わせてくれたっけ。そういうつもりはなかったが、結果、彼のことを振り回していたことになるんだろう。
 感謝はしても、恨むつもりはない。それほど悲しいとも思わない。そういうこともあるさと思える。去る者は追わず。街でばったり会ったら「元気ぃ?」と明るく挨拶できるだろう。……って考えるあたしは、ずいぶん大人になったものだなぁ。
 恋愛がすべてであった頃、恋愛が終わるということに、自分が殺されるような錯覚を抱いていた。あたしが選ぶ男もあたしによく似ていた。そりゃあもう、熾烈に戦ってきたものだ。恋愛相手というよりも、戦う相手を選んできたみたいだ。独りでいたくないから、それほど好きでもない相手と同棲したり。
 だけどもう、そういうのはね。体力もなくなってきたし、オバサンだし。
 なによりも息子を産んでびっくりしたんだよ。臭いけど、愛するってこういう気持ちなのかって。あたしが男達から深く愛されないのは、あたしが男達を深く愛さないからであったのね。お互いさまだったのね。
 でもさ、たまーに、殺してやりたいぐらい好きだった男がいた頃を懐かしく思ったりして。たまーにだけど。

2004 06 30 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< 親馬鹿と馬鹿親 >

 親馬鹿かぁ。親馬鹿かもなぁ。みなさんにトラックバックでそう指摘されても、頷くしかないよなぁ。仲間もいたから、ま、いっか。そうですか、おたくのおぼっちゃんはトーマスのスマジャーがお好きなんですか。
 ……スマジャーってどいつ? トーマスのビデオは家に全部あるけど知らんかった。
 そうそう、ロックをやっているという彼女、ごめんなさい。あたしの注意が足りなかった。そりゃあ嫌だよね。自分がやっていることを貶されたらさ。言い訳せず謝るよ。ごめんね。
 それにしても、あたしは親馬鹿だよね。馬鹿親じゃないよね。その違いは大きいと思う。
 たとえば世の中のルールを、子供の前で破る親とかさ。
 行列に子供を割り込ませたり、子供のポケットのゴミをそこら辺に捨てさせたりする親を見かけると、驚いてしまう。公園の立ち入り禁止の芝生の上で、弁当食っている親子も見かけたことがある。
 ルール違反が平気な親に育てられた子は、気の毒だ。ルールを知らずに育ってしまうわけだから。世の中に出て、恥をかいてしまうもんね。
 あたしは、できるだけ完成形の大人として、成人した息子を社会に送り出すのが自分の役目だと思っている。
 あたしは身体の弱い母親が三十七歳のときに産んだ一粒種で、父親はたまにしか家に帰ってこない人だった。だから、ものすごーく甘やかされて育ったの。
 いやあ、社会に出てから困ったもの。生意気だとむちゃくちゃ叩かれまくったよ。
 まあ、叩かれまくった中でゴキブリのようにしぶとく生存してきたから今の自分があるんだろうが。
 だけど、息子には自分が持っている強さは感じられない。なんかあの男、貴族チックで。あ、またなにげに親馬鹿しているか。ここまでくると、もう親馬鹿じゃなく、馬鹿親の領域か。立派に馬鹿な親だよな。
 話は変わるが、トラックバック、ギタリストにかもられた方からのアドバイスがあった。息子のこと、女をかもるような男に育てちゃいかんと。
 へい、へい。わかってますがな。
 女の子にルール違反なことをするなときつくいうつもり。女の子をかもる前に、まずこの母ちゃんを騙してみろやといっておく。
 かもられまくって、現在にいたるこの母だ。男のこと、もう真っ直ぐに見ることが出来ない。食事に誘われただけで、「どんな罠じゃ」と思うぐらいだ。どうよ? どうよ?
 

 
 

2004 06 23 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< 息子にギターを習わせる理由 >

 親バカかもしれんが、もうすぐ四歳になる息子のこと、「こいつはただ者じゃない」と週に一回は思うね。
 うちの息子、アニメは『ルパン三世』がいちばん好きなのよ。中でも『カリオストロの城』が。
『カリオストロの城』って、大人のあたしが観ても面白いと思うもんな。センスがいいぜ。
 え? なになに、そんなの普通だって? 子供はどんなアニメでも好きなんだ、だって?
 ……じゃあ、これってどうよ? 出てくるキャラクターの中で、息子のお気に入りは銭形のとっつぁん。ちなみにあたしのお気に入りは次元だけど。
 ルパン三世には魅力的な登場人物がたくさん出てくる。その中でとっつぁんが一番好きだなんて、なんか見所のあるやつじゃない。
 我が家で『ルパンごっこ』をするときは、ルパンごっこといいながら、ルパンは出てこないのじゃ。だって、息子がとっつぁん役で、あたしが次元役だから。
 まあ、そんなことはどうでもいい。今、息子に音楽を習わせようと思っているのね。本気で本当に、息子には音楽の才能があるんじゃないかと思って。
 正直、あたしは音楽に関してはよくわからない。学生時代は楽器が弾けずに困った。通信簿、10段階評価で音楽は3だもんな。音楽をかけるような家に育っていないし、あたし自身、音楽を聞く習慣などないし。
 そんな音痴なあたしが、なぜ息子の才能を発見したか。やはり、ここでまたルパンなのである。映画の中に流れる曲を、息子は正確な音程で鼻歌にして口ずさむ。
「こいつぁ、天才だ!」
 あたしは思ったね。その才能を伸ばしてやろうじゃないかと。
 ……じつは、ほかにも理由があるんだけどさ。いや、そっちの理由のほうが大事だったり。
 息子の年代は女の子の数が非情に少ないらしい。どちらかというと開かれた性格ではない息子だ。この先、息子に無事ガールフレンドはできるんだろうか、と母は考える。あの男に、数の少ない貴重な女が当たるんだろうかと。心配だ。
 ほんとは音楽教室ではなく、ギター教室に通わせたいの。だけど、いくらなんでも小学生にならなきゃ弦に指が届かなかろう。
 だって、あたしは、ギターを弾けるというだけでモテる男を知っている。顔はそんなにハンサムじゃないし、頭も性格もとびきりいいというわけでもなく、だけど女に不自由していないと豪語する友人がいる。
 やつ以外のバンドのメンバーのルックスがいいからに違いない。で、その力を借り、やつもモテてるに違いない。ギターは目立つもんなぁ。
 小さいうちからギターを習わせておけば、なんぼなんでも年頃になるころにはそれなりに上手くなっているだろう。ピアノなどは習っているやつが多いから却下ね。ライバルが多そうだから。
 息子にギターを習わせるというのは、やつの将来を考え、保険に入っておいてやるようなものだと、この母は考える。お受験のための学習教室などに入れるより、将来、息子からよほど感謝されそうな気がする。
 小学校の低学年頃から本格的にギターを習わせ、思春期にはエレキが弾けるようにさせておく。だが、あの男が最終的に落ち着くのは、ベース担当だな。
 暗いくせに威張っているから。ベースって、それほど目立たないバンドのリーダーがやるもんじゃないの? 実際の年齢より上に見える、老け顔の。
 ドラムは……三枚目チックでヤだ。太っていそうで。ボーカルは病的なナルシストだし。
 って、これってすべて音痴のあたしのイメージなんですが。
 
 
 
 

2004 06 16 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< ホテルのとある風景から >

 一昨日から阿佐ヶ谷のホテルにカンヅメになっている。こぢんまりとしたビジネスホテルで、けっこう居心地が良い。朝食は最悪だけど、宿泊費が安いから文句はいえまい。
 以前は西新宿のホテルを使っていたが、今度からこっちのホテルにしようと思う。なんたって、宿泊費が半分だから。
 それにしてもぜんぜん原稿が進まない。もしかして、居心地がいいってのが駄目なのか。
 西新宿のホテルはいろんな意味で興味深かった。海外の観光客が多かったし、それとは別に、深夜二時をまわるとロビーに各国の売春婦らしき人がたむろしておった。
 観光客ではないと一目でわかる彼女たち。警備員が見回りに来ると彼女らはさっと逃げ、そして次の見回りの時間までにじわじわと集まり出す。
 冬はホームレスもロビーに入ってきてたしな。大手チェーンのホテルなのに、そのゆる〜い感じが気に入っていた。
 そうそう、あたしはそこのホテルで援助交際らしきものも目撃したのだった。早朝のエレベーター前、セーラ服の女の子と気まずそうなオヤジがいた。
(マジかよ)
 とあたしは思った。
(まさかね。親子だろ、きっと。出張先のお父さんを訪ねてきたのだな)
 しかし、彼女たちは軽く会釈を交わし、違うエレベーターに乗ったのであった。
 あたしは女の子と一緒にロビーに下りた。エレベーターに二人きりだったので、彼女に聞こえるよう大きな独り言をいった。
「ああ、ちくしょう! 人生って長いよな。こんなに長生きするはずじゃなかったのに」
 とかなんとか。彼女は気持ち悪そうにチラチラあたしを眺めていたっけか。いいよ、気持ち悪いオバサンと思っても。が、少しでもわかれや。
 若い頃は今が良ければいい、としか考えられないものだが、今なんて一瞬で終わる。それからの方がうんざりするほど長いんじゃい。死ななければならない特別な理由がなければ、生きていかなきゃなんないんだ。
 しかも、自分が厭になったからといって、違う人間に変身するわけにもいかない。たとえ、変身したとしても、自分だけは変身する前の自分を知っている。できるだけ、自分を愛せるようにしといたほうがいいよなぁ。自分とはつき合いをやめるわけにいかないんだから。
 今回、泊まっているホテルは平和でよかった。平和すぎるぐらいじゃ。小説のアイディアがひとつも思い浮かばん。
 昨日は息子が泊まっていくしよ。カンヅメだ、急いで原稿を仕上げなきゃ、っていってんのにうちの両親はなぜか息子をホテルに置いて帰った。
 むかついたから、息子と一緒にホテルの近所のスッポン料理屋で、お高いスッポンを食ってきた。なにやってんだか、あたし。
 
 
 

2004 06 09 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< 酒と睡眠剤とあたしと…… >

 こう見えてもあたしったら繊細だ。誰も信じちゃくれないけど、ガラス細工のような心の持ち主なのね。
 月曜から水曜日までは仕事の都合でむちゃくちゃ朝が早い。目覚まし時計を三つもセットしているんだけれど、明日こそ起きられないのではないか、といつも考えてしまうのだ。
 するってーと眠れなくなる。それでなくても寝不足気味のあたしだ。眠れるときに眠っとかなきゃいかん。しかし、眠ろうと思うほど目が冴えるではないか。
 そこでだ。病院にいって睡眠導入剤を処方してもらっている。メラトニンという小さく白い錠剤ね。
 だけど、あたしったらホステスをやってたぐらいだし、やたらめったら酒が強いでやんの。酒の強い人間に、こういった薬は効きづらいんだって。
 どーりで、薬を飲んでもぜんぜん眠くならないわけだ。医者に相談したら、もっと強い睡眠薬もあるよ、といわれたんだけどさ。
 睡眠薬と酒は一緒に飲んでは不味いという常識ぐらい、あたしだって知っている。もちろん、メラトニンと酒だっていかんのだろう。が、強い睡眠薬と酒じゃもっといかんのと違うか?
 ちっとも効きやしないメラトニンを、あたしは舐めているんだと思う。処方箋には一応、酒と一緒に飲んではいけないと書いてあるが、まもった試しがないもんな。飲んだ後、車に乗ったりしないから、ま、いっか。家で飲んでいるんだから。
 だって、あたしの夕食にはビールの大瓶一本つけるのが決まりなんだもん。ビールを飲むとその後からだが冷えて、焼酎のお湯割りも飲みたくなるんだもん。
 東京で家族を抱えて生きていくのって大変なことだ。家賃も物価も高いしさ。酒を飲む喜びをなくし、どうして生きていけようか。
 『仕事』という好きなことをしているから、そんなにストレスは貯まらないはずなんだけどね。好きなことでお金がもらえ、自分の人生、怖いぐらい上手くいきすぎだと思っている。これ以上は望んじゃ不味かろう。
 だが、もっと家族にはいい暮らしをさせてあげたい。年に一回、海外旅行に連れていくでしょ、年に数回温泉旅行に連れていくでしょ。どうじゃっ、けっこう贅沢でしょーが。でも、もっともっとと思ってしまう。
 いつまであたしがこの仕事をつづけていられるかわかんないからね。お金があるのも、いつまでって保証がないじゃん。家族には、できるときにできるだけしておきたい。それがきっと、心の支えでもあり、心の重しでもある。
 若い頃、ぜんぜん親のいうことを聞かずに迷惑をかけたしさ。息子から父親を、勝手に奪ってしまったしさ。
 ま、自己チュー女の罪滅ぼしだな。だけども、好きな酒を飲むぐらいはあたしゃ、自分に許すよ。それがいけないとなったら、きっとなにもかもイヤになるに違いない。
 好きな仕事だって、仕事というからには辛いことだってある。辛いときにあたしを慰めてくれるのは酒だ。酒だけだ。
 あたしは人から頼られるのは好きだが、人を頼るのは嫌いなんじゃ。滅多なことじゃ頼りたくない。こういった強情な人間をあたしが生まれた青森では「こわい人」というらしい(by室井マザー)。
 

2004 06 02 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック