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< 盗まれた気分ってわかる? >

 家路に向かうタクシーの中で携帯が鳴った。ライターをやってる友人の丸山からであった。
「よっ、なにしてる?」
 やつの声のバックに大勢の笑い声がする。なんでも、ホームパーティーを開いているという。
 丸山が書いた加藤鷹さんの本の映像化が決まり、そのお祝いなんだってさ。ふ〜ん。
 次々に受話に出る人が交代する。加藤鷹さん、カメラマンの村尾、ヘアメークのチカ。そういや、加藤さんの本の映画化にあたって、村尾がスチール写真を、チカがヘアメークをしたっていってたっけか。
 村尾もチカも、腐れ縁の友人達だ。年に一回もう一人Nという女を交え、一緒に旅行にいったりもする。あたしと丸山とNはバツイチ、村尾とチカは行かず後家。男運の悪い女たちが気づくと群れていたってわけ。
 それにしても、やつらが楽しそうにしているとなんだかむかつく。やつらは男のことをグチグチ愚痴るか、若い女について姑みたいになことをいっているか、金の話をするか、その三種類しか似合わないと思う。
「ねえ、暇だったら今から来ない?」
 暇じゃねーっつんだよ。だいたいおまえらから楽しさのおっそ分けをしてもらうなんて、あたしのプライドが許さんのじゃ。
 あたしは急いでいた。仕事も途中にしてタクシーに乗った。息子から電話があったのだ。
「ママ、びちびちウンコ垂れた。もう、びちびちって。びちびちって」
 前日、少し咳をしていたのが気になっていたがとうとう腹にもきたか。しかも相当、酷いようだ。
 うちの息子は、まだトイレで用をたせない。いや、小はできる。大だけできない。本人曰く、「恥ずかしい」らしく。
 つきたての餅のように白い息子の肌は、ちょっとしたことですぐかぶれる。結局、その日は三回、紙パンツを代えた。寝ウンコはさすがに垂れないだろうと思ったが、心配になって深夜にも何度かパンツを覗いたので、あたしは寝ることができなかった。翌日の朝七時にラジオ局に向かわなくてはいけないってーのによ。
 ラジオ局に向かっているタクシーの中で、なぜか昨晩のむかつきが復活してきた。あの女ら、昨晩は年齢も考えずしょーもなくはしゃぎやがって。あたしの幸せやあたしの楽しみやあたしの安らぎやあたしの手柄やあたしの貯金やあたしの男や……たとえるならそういったものが、やつらに盗まれたみたいな気分といったらわかってもらえるだろうか。
 くそーっ。こうなったら片っ端からやつらの家に電話し……、誰も出ないでやんの。昨晩は泥酔し、今はまだ夢の中ってことか。くそっ、くそっ、くそっ。
 むかつきは収まらず、男運ない仲間のひとりNに電話をかけた。やつは昨日のパーティーに出席していなかったが、この際、関係ない。
 Nは電話に出た。しかも三回のコールで。
「寝てた?」
「ううん、起きてた。なに?」
「いや、べつに。あんた、こんな時間に起きてたんだ?」
「『冬のソナタ』のDVDを観てたら朝になっちゃって。ヨン様、かっこいい!」
「昨日、丸山んとこのパーティーに出なかったんだね」
「ホームパーティー? ビンボ臭っ。冬ソナ観てるほうがずっといい」
 急に、むかつきがしゅるるるるんと萎んでいくのがわかった。こいつ現実から逃避することにしたんだと思った。辛い現実から逃亡し、とうとう空想世界の住人になってしまったようだ。くぅぅ〜、哀れなやつよ。
 しかし、なんだな。こういうやつが一人いるととても救われた気分になるもの事実。ようやくいい気分になった。今日もバリバリ働こうっと。

2004 04 30 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< 吃音に詳しい方いらっしゃいますか? >

 聞いてよ。出張から帰ってきたら、息子が保育園を辞めていた。爺&婆が勝手に幼稚園を決めてきたのだ。
 ほんであたしにいった。
 「園の服とか入学金とか払わなきゃなんないから、とりあえず二十万ね。明日まで」
 ふつう、こういうことは母親であるあたしが決めることだろうが。ああ、頭がおかしくなりそうだ。
 幼稚園って、いったいどうすりゃいいの。年中、母親と一緒に参加しなきゃなんない行事があるんだよ。息子だけ母ちゃんが不参加だったら可哀想じゃないか。
 ……と、そんなことをいってももう遅い。保育園は一回退園届けを出すと、二度と入れないからだ。

 あたしは個人で仕事をしているが、自分一人の力で仕事をしているわけではない。室井佑月というのは会社名みたいなもんで、今のあたしになるまでに力を貸してくれた人はその株主のようなもんだ。あたしがこの名で仕事をしていくかぎり、お世話になった人々に配当金をまわしつづけなくてはならないと考えている。
 売れない頃から可愛がってくれている編集者には、たとえば五万円で頼まれた原稿なら五万以上の内容を、というふうに。少しでも彼らの持ち駒の一つであるあたしが売れっ子となって、彼らの出世の手助けができれば嬉しいと願っているし。
 所属事務所の社員なんて、ダイレクトにあたしの稼ぎをあてにしているわけでしょう? ちょっとでも多く稼いで、ボーナスを上げてやりたいと思うのが人情ではないか。
 だから、きゅうに仕事を減らすなんてことはできない。なのに、いったいどうしたらいいんだろうか。
 しかし、爺&婆を叱るなんてことはできない。彼らは、彼らなりに愛する孫のことを考え行動したのだから。
 半年ぐらい前からだろうか、息子がどもるようになった。今は吃音っていうんだっけ。
 爺&婆がそのことを大層心配していたのは知っていた。あたしだって心配していた。
 「年頃になっても、女の子をスムーズに口説けないんじゃないか」とか。
 病院へいき相談もした。だが、あたしは医者の話を聞き、すぐに安心してしまったのだ。医者はいった。
 「頭のいいお子さんがなるんです」
 あっそ。ならしょうがないね、うちのユーちゃん、かしこいから、って。女の子を口説けなくても、向こうから寄ってくるから平気だな、だって顔もいい上に頭もいいんだから、って。
 しかし、爺&婆は違った。吃音を治す専門家の先生がいる幼稚園を探してきたのだ。あっぱれ。
 もしかするとあたしは母親として呑気すぎるんだろうか。どなたか吃音について詳しい方はいらっしゃいませんか。もしいらっしゃいましたら、意見を聞かせていただければ嬉しいです。

2004 04 23 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< 悲しいニュース >

 植草さんが捕まっちゃったね。ニュースを観てもなかなか信じられないでいる。
 彼とは何度か一緒に仕事をした。生放送で言葉に詰まったとき、助け船を出してもらったこともあったっけ。
 よっぽど深い悩みでもあったのかな。発散方法がわからなくなるぐらいストレスが溜まっていたのかもしれない。だからといって、仕方ないとはいえないけどね。
 彼が捕まったというニュースを訊き、あたしはただただ悲しかった。仕事の関係者から意見を訊かれ、
「あたしでよければ、いくらでも見せてあげたのに」
 と答えたのは正直な気持ちだ。でもたぶん、そういう問題じゃないんだよ。悪いことがしたかったんだ、彼は。
「やめてください」
 そういいながらだったらよかったか。
 週刊誌などから電話がかかってきて、コメントを求められる。彼が悪いことをしたと知っていても、彼を弾圧するような見出しのつくものには答えたくはない。
 だって、あたしの知っている彼はいい人だった。
 一日も早く彼が病気を治し、また一緒に働けるといい。

2004 04 14 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< どーもー丸山でーす >

 室井ちゃんが『笑っていいとも!』で人から貰った祝い花は、入院しているあいだ中、そりゃあ綺麗に咲いてくれました。こんにちは。丸山あかねと申します。今日は快気内祝いを抱えて事務所に遊びに来たんですけれど、久しぶりに会ったのに室井ちゃんは「へんっ! 何しに来たんだい」って態度で、みんなが「あかねちゃん、病気が治ったら綺麗になったよ」と言っているのを聞いてご機嫌斜めになっちゃった。こーいう心の狭い室井ちゃんですが、よかったら末永く応援してやってください。無理しなくていいですよ。ホント、無理はいけません。そもそも室井ちゃんのファンというのは変わり者、あ、違った、奇特な人だなと思うわけですよ。おっ、室井ちゃんがやってきた。何を書いているのじゃと騒ぎ出した。これは非常にマズイ状況です。
 というわけで、これにて失礼いたします。さようなら。

2004 04 13 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< 気のせいじゃないって >

 先週末はやたらと忙しかった。東京で雑誌の取材を受けてから、大阪に飛んでテレビ出演3本撮り。テレビ出演が終わってから鹿児島にてトークショー。翌日の朝イチで大阪に入りテレビ出演、そしてその後、東京に戻ってまたテレビ……。マック持参で、仕事と仕事の合間に小説も書いてたし。
 守銭奴のマネージャーが、昼飯を食う暇もなく仕事を入れまくるからね。
 ま、絶対とはいわないができるだけ日曜日は休みたいでしょ、息子に飯食わせたり風呂入れたりしなきゃなんないから平日の夕方からも休みたいでしょ、ってなことをいってると仕事が詰まりに詰まりまくり週イチぐらいでこんなスケジュールになっちまうんだろうが。
 あたしが疲れたと愚痴をこぼしはじめると、マネージャーは笑顔で、
 「気のせい、気のせい。見るからに元気そう」
 でなことをいう。そういわれると、そうかなって気がしてくるから不思議だ。でも、これってどうなの? あたしが腹が減ったと訴えると、
 「気のせい、気のせい」
 って。いっくらあたしが馬鹿でも、飯を食わしてもらってないことぐらいわかるじゃんねぇ。


 この男、この間なんてあたしの講演の最中に寝てたしよ。そりゃあね、始終一緒にいるんだし、あたしの話なんてもう聞きたくないのわかる。でもさ、マネージャーなんだから目のまわりにメンタム塗りこんでも起きてろや。爪と指の間に安全ピン刺しても起きてろ。そして真っ先に笑え、大げさに拍手しろ。
 あたしの話を聞いて、泣いてしまったお客さんがいたのね。あたしの辛かった過去話と、お客さんの現在がたまたま重なってしまったからなんだと思う。
 で、講演が終わり、そのお客さんが待っててくれたので、
 「あたしもこうしてピンピン生きているんだし」
 というようなことをいい全力で励ました。だけど、あの男、寝ていたもんだから意味がわかってないじゃん。会場を出てタクシーに乗ってからあたしに怖々訊ねてやんの。
 「なに? なにがあったの?」
 答えるのも面倒くさいので黙っていたら、
 「やめてよぉ。お客様と喧嘩するのだけはやめてよぉ」
 とかオカマ言葉で抜かしてた。
 馬っ鹿じゃねーの。あたしが町の不良みたいな真似してたっつーんかい。三十四歳のあたしが、経産婦のあたしが。
 気を取り直すため、息子に電話をかけた。本当に愛し合ってる男に。マネージャーとは、所詮、金の繋がりよ。
 一日でもおまえに会えないと母ちゃんは寂しい、きっとおまえも寂しがっているだろう。ところがどっこい、やつったらめちゃくちゃつれないでやんの。
 「今、ルパン観てるから(ルパン三世のビデオね)」
 と三秒で切りやがった。諦めずに何度かかけてみたが、
 「今、メリーポピンズ観てるから」
 ……このガキャー、呑気にビデオばっかり観くさって。母ちゃんは飯も食わず、必死で働いてるってーのに。
 だけどまだ、マネージャーのことも息子のことも、我慢できる範囲内の出来事であった。出張し、何本も仕事をこなし、ボロ雑巾のようになった身体を引きずって家に帰ったあたしは爺&婆からいきなりこういわれた。おかえりといわれる前に。
 「二十万。明日までにね」
 以下、次号。

2004 04 09 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック

< ああ、理想の三毛作 >

 『一週間に一度の書き込みがあるんだろうが』
 と、トラックバックがあったので、根性で二回書いているあたしです。ふふふ。
 なんたってあたしは、某小説誌で連載中に「ラストはこうなるんですよね」という内容のお手紙を読者の方にもらい、それがズバリその通りであったので、後先考えず主人公の相手役の男を殺してしまった女なのじゃ。どうじゃー、参ったか!
 
 

 …って、参るのはいつもあたしなんだけどね。そうでした。そうでした。
 現在あたしは、週刊連載3本、月刊連載7本、隔月連載2本抱えている。単発を入れると、月に27〜8本の締め切りだ。文芸の編集者の方々に、
 「室井はタレントになったんだよな」
 とか嫌味をいわれ、去年の末から毎月一本短編小説も書いているし。
 忙しいっちゃ忙しい。でも、なんだかこのblog、楽しくなってきちゃった。みなさんの声がじかに聞こえてくるのが面白くって。これからもよろしくおつき合いくださいまし。賃金度外視で、あたしゃ、やるよー。
 そうそう、この日記が単行本として本になるかどうかって、どなたかが書かれてましたっけ? 
 さあ、まだわからんのです。たぶん、どっかの出版社が「うちで」といってくれるとは思うんだけど。今まで書いたもの、みんなそうなってきたし。けど今、出版不況だしね。絶対、単行本になるとはいえないよなぁ。
 三毛作で仕事するのが理想だけど。あ、三毛作ってのは、どっかの媒体で連載して原稿料をもらい、単行本の印税をもらい、文庫本化でこれまた稼ぐことね。
 あたしったら、作家として微妙な位置にいるもんだから。馬鹿売れはしないものの、出版社が損をこかない程度には売れている。
 編集者も必ずメガヒット本を出す作家になら、目の色を変えるんだろう。が、あたしの本はね、「まあ、出してもいいんじゃない」という感じなのではないか。
 本って、売れる月と売れない月があるの知ってる? たとえば11月、12月は売れる。お正月休みに読みたいって人が多いから。
 けど、作家全員が11月、12月に本を出版したいっていったら大変なことになるじゃない。印刷所も編集者も大忙しになっちゃって。
 出版社は、まず超人気作家の出版本の予定を組む。そして、次に人気作家の予定を組む。それからなんだよ、あたしに話しがくるのは、きっと。
 だけど、編集者の人いわく、あたしはそれでいいんだって。本を買ってくれる人は、毎回、楽しみに新刊を待っていてくれるありがたい人々だからって。2月、6月は、有名作家の本の出版が少ないからこそ、宣伝費も多く使えるからラッキーなんだよって。
 なんだか騙されている気もするが、ま、いっか。考えても仕方ない。どーせ、あたしは原稿料生活者。印税生活者じゃないから、本を出版する時期を決める権限などないんだし。
 メガヒットは出さないと端っから思われているんだね。こういうことこそ裏をかき、ウシシシと笑ってみたいものである。いや、毎回、そう思って頑張っちゃいるんだけどね。無念で終わるんだな、これが。
 

2004 04 02 [日記・コラム・つぶやき] | 固定リンク | トラックバック